秋の味覚としての果物に柿がありますが、食べ方は生でそのまま食べたり干し柿にしたり、葉は鯖や鮭の押し寿司をくるんで柿の葉寿司としたりと様々あります。
どれもその美味しさからついつい食べ過ぎてしまいますよね。
体を冷やす果物でもある柿は、食べ過ぎるとちょっと怖い病気にもなりかねません。
1日何個までならいいのかもご紹介します。食べ過ぎには注意しましょう。
柿を食べると何故腹痛を起こすのか
柿を食べると決ってお腹が痛くなる事があります。
甘い柿は2個、3個とついつい食べてしまいますよね。
「柿が赤くなると医者が青くなる」といわれるほど栄養価が高い柿ですが、食べる度にお腹が痛くなっては困りものです。
原因はよくわかっていないのですが、考えられることは「冷え」ではないかということです。
柿に含まれている「タンニン」という成分ですが、「ポリフェノール」と言った方が分かりやすいでしょうか。
このタンニンが鉄分と結びついて貧血になることで、内臓機能が低下し冷える。
そこから腹痛につながるのではないかということです。
また食物繊維が腸の内壁を刺激して腸内の便の量を増やすことで、腹痛につながるのではないかとも言われています。
特に便秘の人が腹痛を起こすようです。
お腹といっても、腸ではなく胃が痛むという方もいます。
これは、タンニンが胃液中で固まり「胃石」という個体を作ってしまい、嘔吐や痛みなどアレルギーと同じ様な症状が出たりします。食べ続けると腸閉塞を起こす可能性があるのでその症状が出たら食べてはいけません。
だいたい食べてから1.5時間~2時間程で症状が出るので、それ以上は食べないようにして下さい。
では、1日にどれくらいなら食べても良いのでしょうかね。
・小学生...5個(約250g)
・妊婦...4個(約200g)
・糖尿病のある方...1/4個(約12.5g)
これくらい食べるとカリウムの利尿作用でトイレが近くなります。
子供はもしかしたらオネショをするかもしれません。
あくまでも一般論なので、自分の調子に合わせて食べて下さいね。
まとめると
・タンニンは胃石を作ってしまうことがあり、痛みや嘔吐を引き起こす
・胃石は柿を食べ続けると、腸閉塞をおこす可能性がある
・食物繊維が便の量を増やしし、腹痛を起こすと考えられる
・1日に大人で10個、子供で5個、妊婦は4個、糖尿病のある方は1/4個以上が食べ過ぎになる
生柿や干し柿の栄養は?
柿には「甘柿」と「渋柿」があります。
・富有柿(ふゆうかき)
・次郎柿(じろうかき)
・早秋柿(そうしゅうかき) など
【渋柿】
・平核無柿(ひらたねなしかき)
・刀根早生柿(とねわせかき)
・紀の川柿(きのかわかき)
・蜂屋柿(はちやかき)
・富士柿(ふじかき)
・大和柿(やまとかき) など
甘柿と渋柿はどこが違うかというと、渋の元になるタンニンが水に溶ける状態か溶けない状態かにあります。
甘柿を割ってみると黒い斑点がびっしり入っていますが、それこそがタンニン。
水に溶けないので、食べても渋を感じないんですね。だから、甘い。
渋柿は水に溶けるタンニンなので、食べるとあのいやーな渋を感じるんです。
口の中にいつまでも残るあの「渋」です。
庭に植えている柿はほとんどが渋柿だと思いますが、そのままでは食べられませんよね。
渋を抜く方法は
ボールなどにお酒を入れて準備したら、柿のヘタをちょっとつけます。
そのままビニール袋に入れて2~3週間待つと、渋が抜けてとっても甘くなりますよ。
・乾燥させて抜く(干し柿)
ヘタが長い涙型の柿が吊るしやすいですよ。
皮を剝いたら、ヘタに紐を結んで風通しが良く雨が当たらない軒先に吊るしておくと1ヶ月くらいで甘くなりますよ。
途中でモミモミするとさらに甘く柔らかくなります。
生で食べる分はお酒で渋抜きして、残った分は干し柿にしちゃいましょう。
皮をむくとべたべたするのでちょっと大変ですが、頑張って!
柿は美味しい上に嬉しい栄養もたくさん含まれています。
・βカロテン
体の中でビタミンAとして活躍してくれます。
免疫機能を支えてくれているのでウィルスの侵入を防いでくれます。
・不溶性食物繊維
腸のぜん動運動を促し、便秘解消に役立ってくれます。
腸内に善玉菌を増やしてくれて、腸内環境を整えてくれます。
・マンガン
糖質や脂質代謝を良くしてくれて効率よくエネルギーに変えてくれます。
疲労回復に効果があります。
【美容】
・ビタミンC
老化につながる活性酸素の酸化を抑えてくれます。
アンチエイジングに効果的です。
・カリウム
細胞の浸透圧を調整してくれて、余計な水分・塩分を排出してくれます。
むくみ対策に効果があります。
・タンニン
血管に働きかけ、毛穴の引き締めに効果があります。
メラニンの働きを抑えてくれて、美白に効果があります。
疲労回復に効果があると言えば、バナナですよね。
アスリートの栄養補給には必ずと言っていいほど登場します。
干し柿にするとその栄養分は4倍になるとか!
昔からある干し柿ですから、もしかしたら戦国武将も戦に持っていったかもしれないですね!
柿の葉は食べられる?
柿の葉を使った食べ物に「柿の葉寿司」があります。
その歴史は古く、江戸時代中頃には奈良吉野地方で夏祭りの御馳走として作られていたようです。
山里に暮らす人々にとっては、海から運ばれてくる鯖はとても貴重で、塩漬けにした鯖を薄くすいて裏山にある柿の葉でくるみ重石をきかせて保存食にしていました。いわゆる「なれ寿司」でした。
そして夏祭りになると、御馳走として欠かすことが出来ない行事食として食べられていました。
全国でも有数の柿の産地で、柿の葉が豊富にあったことから乾燥を防ぐために柿の葉を使ったのですが、今では様々な効果があることが分かっています。
レモンの約10倍~20倍
コラーゲン構築を補助
抗酸化作用で美肌・美白効果
便秘解消効果
風邪予防、貧血改善
糖尿病・高血圧・胃潰瘍予防効果
・タンニン(ポリフェノール)
高血圧を抑える
食品の保存に有効
・アストラガリン
フラボノイドの一種
アレルギーを抑制する
花粉症対策に効果
柿の葉に含まれている栄養分を知ると、食べた方がいい?と思われますがなかなか食べずらいですよね。
食べてもかまわないのですが、栄養はしっかり鯖寿司に浸み込んでいるので、取り除いて食べた方がよさそうですね。
柿の葉はお茶にして飲まれることもあります。「柿の葉茶」です。
庭にある柿の木の葉で柿の葉茶が作れます。(無農薬に限ります)
・甘柿でも渋柿でもよい
・7~8月に良く日が当っている葉を摂る
・晴れた日に2~3日ほど陰干しする
・乾燥させた葉の主脈(真中に通っている太い葉脈)を切って、包丁で細かく刻む
・蒸し器に水をいれ、沸騰させる
・セイロを外し、蒸し布を敷き、葉を入れる
・蒸し布で包み、蓋をして約90秒蒸す
・ザルに移し、30秒程うちわで扇ぎ、水滴を蒸発させる
・完全に乾燥するまで陰干しする
・密閉できる茶筒で保管
【飲み方】
・急須やポットに柿の葉を入れる
・熱湯を注ぎ、10分~15分置く
お茶の色が出ているうちは何度でも飲めます。
自家製のお茶を作れるのは嬉しいですね、冷え性の方にはお勧めできませんが、興味のある方は作ってみては如何でしょうか。
まとめ
柿を食べると腹痛が起こる原因は、タンニンを摂りすぎて体が冷えるからと考えられることが分かりました。
便秘の方に腹痛が起こりやすいようですが、便秘解消になるからといって、腹痛を我慢して食べてはいけませんよ。
旬の味覚を美味しく頂きましょう。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。