母乳で育てたいのに、十分に出ないと悩んでいるママは多いです。新生児の体重は授乳量に関係なく減っていきます。母乳は育児に必要な量を作り出すようになっています。
母乳が出ない原因は、ほとんどが授乳の仕方にあります。正しい授乳方法でも量が増えない場合は、医学的な要因があるかもしれません。
- 目次
- 1.新生児は体重が減るもの
- 2.母乳の量は一定ではない
- 2‐1赤ちゃんの胃の大きさ
- 2‐2プロラクチン濃度
- 3.母乳が出ない2つの理由
- 3‐1母乳分泌不全とは
- 3‐2ママの体質や病気
- まとめ
新生児は体重が減るもの
生まれてすぐの赤ちゃんは、母乳を飲んでいるのに体重が減ってきます。
これは生理的な現象で、おしっこやうんち、汗などが飲む母乳やミルクの量を上回るためです。この現象は産院にいる間におこるものなので、特に心配する必要はありません。
生まれた時の体重の3~10%ほど減るのが平均的です。通常はその後増えていき、1~2週間後には生まれた時の体重にもどります。
産院にいる間は、体重の減少よりも母乳が出やすくなるように、赤ちゃんが欲しがるたびに飲ませることが大事です。
母乳が足りていないのでは?と思ったら、産院のスタッフさんに相談してみてください。必要であればミルクを足してくれます。
初産の場合ママも赤ちゃんも母乳の飲み方はまだ上手にできません。赤ちゃんの口に乳首がすっぽり入るように頭を軽く押さえてあげると良いですよ。
赤ちゃんが泣くたびに飲ませているとだんだん上手にできるようになります。体重が減っていくのは、ママのせいではありませんので極端に減っていなければ気にしないようにしましょう。
他の人と比べるのもよくありません。母乳の量は人それぞれで、隣で授乳しているママと違って当たり前なのです。出ないのではなく少ないのだと思いましょう。
量を気にしすぎるとそれがストレスになって、ますます出る量が減ってしまいます。人は人と割り切りましょう。
母乳の量は一定ではない
母乳は赤ちゃんが乳首を吸う刺激で分泌されるようになります。それには2つのホルモンが作用します。
・プロラクチン 母乳を作る
・オキシトシン 母乳を出す
乳首を吸う刺激がカギなので、とにかく吸わせることです。最初は上手に飲めないのですから、飲む回数を重ねることで飲み方もわかってきて吸う力も強くなります。
母乳の量が安定するのは産後2~4週間後といわれます。最初から溢れるほど出るわけではありません。生まれてすぐの赤ちゃんにはごく微量の母乳で十分です。母親の体は育児に適応した量を出すようにできているので、少なくても足りるのです。
一般的には出産後、36~96時間後に増えてきます。出産すると胎盤も排出され、それにより胎盤から出ていたホルモン(プロゲステロンなど)がなくなってしまいます。
妊娠を維持するために必要なホルモンなので、それが無くなると育児に必要な母乳を作り始めるのです。母乳は赤ちゃんの成長に合わせて増えていくことになります。
赤ちゃんの胃の大きさ
・3日目...22~27ml(クルミ大)
・7日目...45~60ml(アプリコット大)
・10~14日目...80~150ml(XLサイズの卵大)
※「【助産師解説】母乳はいつから出るの?安定するまでの期間と分泌をよくする方法」より抜粋
母乳の量は、赤ちゃんがどれだけ吸うかによって決まるというのはお分かりいただけましたでしょうか。ただ、母乳を作るプロラクチンは夜間の方が値が高くなると言われています。
生まれてすぐの赤ちゃんは、昼夜関係なく寝て起きます。赤ちゃんに合わせて睡眠をとるようにしてみてはいかがでしょうか。
プロラクチン濃度
出産直後がピークで、その後徐々に低下していく母乳を作るホルモン。母乳が出ないと諦めてしまって、早い段階でミルクに切り替えてしまうと産後1週間くらいで妊娠していない状態まで戻ってしまいます。
乳頭への刺激によって上昇するので、出産後は24時間に8回以上授乳していれば低下を防ぐことができると言われています。
赤ちゃんが昼夜の区別がつくようになるまでは、夜の授乳をミルクにせず母乳にしてみると良いのではないでしょうか。
母乳が出ない2つの理由
・母乳分泌不全
・ママの体質や病気
母乳分泌不全とは
母乳の出が悪いと母乳が出ないという方が多いです。出ないのではなく出なくなってしまったというのが正しいのではないかと思います。
ほとんどの母親の体は、出産すると母乳を作るホルモンが作用します。ところが、適切に母乳を出していないと母乳を作ることをやめてしまいます。
・ママの乳頭に傷や痛みがあって吸わせることができない
・授乳の回数が少ない
・赤ちゃんが飲み残している
・次の授乳までの時間が長い
赤ちゃんの体がまっすぐになっていないとママの乳首に十分に吸いつくことができません。母乳は一生懸命吸わないと十分出てこないので、すぐ疲れてしまって飲むのをやめてしまうことがあります。
首がまだ座っていない頃は、ママのおなかに赤ちゃんのお腹がつくようにピッタリつけて頭を軽く押さえてあげましょう。ママが、乳首の根元まで赤ちゃんの口に入れてあげると吸いやすくなります。赤ちゃんの口は小さいので、乳首を押し込むようにするといいかもしれません。
飲みながら寝てしまったら、ほっぺたを軽くちょんちょんとつついてあげるとまた飲み始めたりします。足の裏を軽くたたいてあげてもいいです。
なるべく両方飲ませるようにしましょう。抱き替えることでまた飲み始めることがあります。完全に眠ってしまったら終了しましょう。
次の授乳までに作られる母乳の量は飲んだ分になります。できるだけたくさん飲んでもらうようにしましょう。授乳時間が決まっているなどで、飲み残しがあるようなら、搾乳してもいいです。作られた母乳は出してしまってください。
赤ちゃんが必要とする量が作られないと母乳分泌不全になり、母乳が出ない・足りないの原因になります。ママの乳頭に傷や痛みがあるときは、搾乳して出してしまいましょう。
ママの体質や病気
・出産時の多すぎる出血
・貧血
・胎盤の一部が子宮内に残っている
・乳腺が十分発育していない
・乳腺や授乳に必要な神経が損傷している
・卵巣の病気
・糖尿病
・甲状腺やその他のホルモンに障害がある
・豊胸・乳房縮小などの手術を受けている
産後、子宮は収縮で回復しますが、胎盤の一部が子宮内に残っていたりすると回復が悪くなり、出血量が増えて貧血になります。原因となる鉄分は授乳をすることで、赤ちゃんに移っていきます。赤ちゃんに影響はありませんが、鉄不足は母乳を出にくくしてしまいます。足りない場合はミルクで補いましょう。
甲状腺はバセドウ病の場合、出産後数か月間は安定していてもその後悪化する場合があります。「チウラジール」「プロパジール」であれば、授乳できる量があります。「メルカゾール」でも使い方で飲むことができるので、医師に相談してみましょう。
病気が原因の場合は、ミルクを足すことが避けられません。完全母乳に固執する必要はありません。
まとめ
母乳は出産後すぐに作られますが、赤ちゃんが吸うことで出てきます。しっかり飲ませると、次の授乳に必要な量が作られます。
病気などの医学的な原因でない場合は、きちんと必要量が作られるようになっています。体質などで十分作られないと思われる場合は、ミルクを足してもいいのです。作られた母乳はしっかり飲ませましょう。
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最後までお付き合いくださりありがとうございました。