和食に使われる「だし」の昆布は、鏡餅の飾りや、「よろこんぶ」との語呂合わせから結納品にも使われています。私達の生活にとても密着しているものです。
食事以外におやつとしても食べられる昆布は、食べ過ぎに注意しなくてはなりません。
反対に、美しい黒髪を保つには昆布を食べると良いのです。昆布の適量と髪との関係は?
昆布の栄養と成分は?
昆布は昔から食べるばかりでなく、「喜ぶ」に通じるものとして縁起物とされています。
結婚の結納品、お正月の鏡餅、相撲の土俵などはよく知られていますが、平安時代には陸奥の国(青森県)から税金として朝廷に納められていました。室町時代には武将のラッキーアイテムだったとか。
おせち料理に欠かせない昆布巻、お正月や節分に飲む福茶にも昆布が使われています。
お祝い事には必ずと言っていいほど昆布が登場します。
昆布はとても大きな海藻です。昔は「広布」と書いて「ヒロメ」と呼ばれていました。
音読みで読まれるようになってから「こんぶ」と呼ばれるようになった、という説があります。結婚式で使われることから、結婚披露宴を「おひろめ」と呼ぶ語源になったともいわれています。
食品としても大変優れた栄養があり、無病息災を願うお正月には縁起物としてばかりではなく、一年の健康を願いおせち料理に使われていたのでしょう。
現代では、肉類や加工食品を多く食べるようになったことで身体が酸性に傾きがちです。昆布は健康体である、弱アルカリ性に保つ働きをしてくれます。昆布は理想の健康食品と言っても過言ではないのかもしれません。
アルギン酸とフコイダン
昆布の栄養の27.1%は水溶性食物繊維です。ぬめりやねばりとして、切ったり煮たりすると出てきます。海藻特有のものですが、昆布には特に多く含まれています。
水に浸けておいても出てくる、あのヌルっとしたものです。栄養成分と分からなければ捨ててしまいそうな気持ち悪さですが、糖や脂質を抑えて、コレステロール値が上がるのを防いでくれる有難い成分です。なるべく捨てずに食べましょう。
・アルギン酸
昆布の主成分です。
塩分の摂りすぎで上がってしまった血圧を、下げてくれます。また、消化を促進させて胃もたれを防ぎます。また、ガンなどの原因となる有害物質や食中毒を引き起こす汚染物質を、身体の外に出してくれます。
・フコイダン
血液が固まることで起きる血栓の予防をしてくれます。 がん細胞ができた時に、死滅させたりがん細胞が作る新しい血管を作らせないようにしてくれます。
これらの作用は細胞実験、動物実験でも証明されているので確かなことと言えます。
そして、髪にとっても大切な作用です。
・糖質
昆布の糖質は意外と多く、34.4%です。
昆布巻や佃煮などたくさん食べるのは、ダイエットには不向きのようです。出汁をとるぶんにはあまり影響がないので問題ありません。太るという面からみても、食べ過ぎは良くありません。ほどほどにしましょう。
・ミネラル
カルシウム・鉄・ナトリウム・カリウム・ヨウ素(ヨード)などのミネラルは19.6%。
身体の調子を整えてくれたり、組織を作ってくれます。
ヒトの血液やリンパ液は海水の成分と似ています。約38億年前地上が火山活動が活発だったため、海の中で生まれたのです。
海の中で育った昆布は、人間に有害な物質はあまり吸収しないという特徴があります。
昆布のミネラルは、身体への吸収率がとても高く約80%が体内に吸収されるといわれています。
ヨウ素は新陳代謝を活発にしてくれます。が、食べ過ぎると甲状腺に異常をきたします。
・その他
タンパク質・脂質・水分が19.9%です。
・フコキサンチン
濃いオレンジ色の色素です。表面にある緑色の色素クロロフィルと混ざって茶色に見えます。
メタボの原因になるお腹の脂肪を燃焼してくれます。主に内臓脂肪に作用します。
・グルタミン酸
美味しいと感じるうま味成分。うま味があると塩の量を抑えられるので減塩になり、動物系の鰹節や煮干しなどのうま味が加わると相乗効果でさらに美味しくなります。
昆布の食べ過ぎに注意!
昆布に含まれている栄養成分は、とても優れています。昔から昆布を食べる習慣がある私たち日本人は、毎日何らかの形で昆布を食べています。出汁、とろろ昆布、おしゃぶり昆布、健康食品や加工食品の原材料などです。
当たり前のように昆布は食べられていますが、食事以外に沢山食べるとヨウ素の摂りすぎに繋がります。
食べ過ぎると身体に良くないとされる訳は、昆布の栄養成分である「ヨウ素」が甲状腺と深く関わっているためなのです。
ヨウ素
ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料です。甲状腺の中にヨウ素が取り込まれ、ホルモンが作られます。甲状腺はのど仏から親指2本くらい下の位置にあって、蝶が羽を広げたような形をしています。正常な時は外から触って確認することはできません。重さは約10~15gでとても柔らかい臓器です。
甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にしてくれます。骨や精神状態にも関わっていて、生きていく上でとても必要なホルモンです。全身に送り、余った分は貯蔵します。
ヨウ素を含む食品はいろいろありますが、特に海藻類に多く含まれます。中でも「昆布」「とろろ昆布」には多く含まれているため、おやつ昆布やとろろ昆布を大量に食べることは避けなければいけません。
・食べ過ぎになる量
日本食品安全協会は人間のヨウ素の最低必要量は0.15mg/日、日本では成人の摂取上限値を3mg/日としています。乾燥昆布は100gあたり100~400mgのヨウ素が含まれています。10gの乾燥昆布で、上限値の3倍以上を摂ってしまうことになります。
昆布を大量に食べると、同時にヨウ素を大量に摂ることになります。甲状腺ホルモンも大量に作られる事になるのです。必要以上のホルモンが作られると機能が低下してしまいます。
甲状腺の機能になんらかの異常があるときにヨウ素を摂りすぎると機能低下が起こるのですが、異常が無くても起こる場合があることが分かっています。(ウォルフ-チャイコフ効果)
健康のために昆布4~5gをコップ1杯の水に一晩漬けておいて、毎朝飲んでいた女性の甲状腺機能が低下したという例があります。
・ヨウ素が多い食材
昆布製品...だし昆布、とろろ昆布、昆布の佃煮、昆布茶など
わかめ
のり...板海苔、のりの佃煮など
ひじき
寒天...みつ豆、ところてんなど
ヨード卵
・ヨウ素が含まれている調味料・インスタント食品
昆布だし
だし入り調味料...味噌、醤油、酢、塩など
インスタント食品...みそ汁、吸い物、カップ麺、鍋用つゆなど
他に、飴や羊羹などにも使われていたりします。原材料の表示を確認することをおすすめします。
甲状腺機能障害は女性に多い病気です。また、お母さんがヨウ素を摂りすぎたために、生まれてきた子供が甲状腺機能障害を持っていたことがあります。ヨウ素の摂り過ぎは胎児にも影響することがあるのです。
昆布の栄養は髪の毛にもいい?
食べ過ぎると健康に良くないヨウ素は、艶やかな髪になる成分でもあります。
新陳代謝を活発にしてくれるので、髪を元気にしてくれるのです。
昔、”髪は女の命”とか”髪は長~い友達”とか言われていました。食事にも髪が綺麗になるからと、よく海苔やわかめが出されていました。
日本人の黒髪が美しいのは、昆布やワカメなど海藻類を良く食べるからかもしれませんね。
髪を健康にしてくれる昆布の栄養
・ヨウ素
細胞の入れ替わりに関わっている甲状腺ホルモンの素
代謝を促し、美しい髪を作ってくれる
・ビタミンA
皮膚の保湿効果があり、フケやかゆみを防ぎ、白髪の進行を予防してくれる
・ビタミンB群
髪の毛の周辺の細胞「毛母細胞」を活発にしてくれて、髪を成長させてくれる
・ビタミンC
コラーゲンの生成をサポートし、髪の細胞や頭皮を丈夫にしてくれる
・カルシウム
髪の色を決める「メラニン」を生成する「メラノサイト」を活性化してくれる
白髪予防や黒髪を維持してくれる
・亜鉛
頭皮の形成に関わっていて、抜け毛を予防してくれる
髪を健康にしてくれる昆布の成分
・アルギン酸・フコイダン
昆布の主成分、ぬめりが髪を保護してくれる
フコイダンは毛母細胞を増殖してくれるため、育毛効果がある
ガゴメ昆布が最も効果があるとされる
昆布のヨウ素が新陳代謝を活発にしてくれることから、昆布は髪に良いとされているのではないかと思われます。昆布のヌルヌルが髪を艶やかにしてくれ、成長させてくれることから髪がふさふさになると言われてきたのではないでしょうか。
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まとめ
昆布の栄養はとても優れたものです。育毛にも効果があるのは、とても嬉しいことです。髪型で身分や立場を表してきた日本人には、昆布は必要なものだったと推測できることから、料理の素材やだしとして使われてきたことが理解できます。
ただ、昆布の栄養は他の栄養素との組み合わせで効果が出ます。昆布だけを食べることはしないようにしなければ行けません。
何においても過ぎることは良くないことです。昆布を必要以上に食べることは病気に直結します。特に女性の皆さんは食べ過ぎに注意しましょう。
最後までお付き合いくださり有難うございました。
昆布に関するいろいろ細かい内容、とても勉強になりました。美味しいからと言って食べ過ぎてはダメなんですね、ありがとうございます
コメントをありがとうございます。
私自身も、甲状腺を患っているもので昆布の「ヨウ素」に興味があり、記事を書いてみました。日本では大部分の加工食品に昆布が使われているので、特に注意が必要かと思います。体質にもよるので、すべての人に当てはまる内容ではありませんが、頭の片隅にでも置いていただければ嬉しいです。