料理のだしに何気なく使っている昆布ですが、ほとんどが北海道産です。
また、その種類によって使い方が異なります.
それぞれの特徴を生かすことによって、いつもの料理が一段と美味しい
ものになります。
だし用や煮物用など使い分けの仕方と種類によって違う値段の訳、
それぞれをご紹介します。
昆布の種類での使い分けは?
だし昆布を買おうとスーパーに行くと、昆布売り場の前で途方にくれます。
だしが良く出るものや、佃煮・おでんなど煮物に最適などいろいろあります。
だし昆布を買いに行ったのですから「だし昆布」と書かれているものを買えば
いいのですが、厚いものもあれば薄いものもあり、裏書に「だしや煮物」
などと書かれていれば、一体どっちなの?
となってしまいます。昆布の種類はどれだけあるのでしょうか。
昆布は、だいたい8種類がよく使われています。
・真昆布(まこんぶ)....主にだし昆布
・羅臼昆布(らうすこんぶ)....主にだし昆布
・利尻昆布(りしりこんぶ)....〃
・日高昆布(ひだかこんぶ)....佃煮昆布、昆布巻、おでん、だし昆布
・長昆布(ながこんぶ)....生産量が最も多い佃煮昆布、おでん、昆布巻
・厚葉昆布(あつばこんぶ)....昆布巻、佃煮昆布、酢昆布
・細目昆布....粘りが強いとろろ昆布、納豆昆布、刻み昆布
・ガゴメ昆布(がごめこんぶ)....粘りが強く、とろろ成分が多い。
とろろ昆布、おぼろ昆布、松前漬け
だし用には、真昆布・羅臼昆布・利尻昆布が、
煮物や佃煮には、日高昆布・長昆布・厚葉昆布・細布(細目)昆布が良く、
松前漬けには、ガゴメ昆布を使うと良さそうです。
形からは、幅が広く厚みがある真昆布・羅臼昆布・利尻昆布がだし用、
幅が狭く薄めの日高昆布・長昆布・厚葉昆布・細布(細目)昆布が煮物に
適しています。
ガゴメ昆布は粘りが強く、とろとろしているので、松前漬けや、
きのこと合わせて塩辛などを作る時に使うと美味しくできます。
また、お正月のおせちなどに昆布巻を作る時は、
日高昆布・長昆布・厚葉昆布・細布(細目)昆布
が良さそうですね。
簡単に、だしには真昆布・羅臼昆布・利尻昆布、松前漬けにはガゴメ昆布、
他は煮物・昆布巻
と覚えておけば迷わないでしょう。
ガゴメ昆布や細目昆布は「とろろ昆布」「しおから昆布」などの商品名で
売られていることもありますが、粘りが強いので使われる時は、
戻す水の量を多めにする事をおすすめします。
松前漬け用には、材料がパックになって売られているので、おためしあれ。
私は、秋のきのこが出る頃に、きのこ採りが大好きな知人から「さもだし」を
結構な量を頂くので、醤油で煮た「さもだし」にガゴメ昆布・きゅうり・菊の花・
スルメを合わせて「きのこの塩辛」を作ります。
ただ、ガゴメ昆布は多めの水で戻さないと、合わせた時にねばりが強すぎて、
全体が固まってしまうという失敗作になってしまいます。
昆布の種類による産地は?
昆布ってどこの海で採れるのか疑問に思った事はありませんか?
日本の昆布の約90%は北海道の海から採れたものが使われています。
他は、東北の三陸海岸で採れます。
主な産地は次の通りです。
・真昆布(まこんぶ).....函館沿岸
尾札部浜、川汲浜、安浦浜、大船浜
・羅臼昆布(らうすこんぶ).....羅臼沿岸
羅臼浜
・利尻昆布(りしりこんぶ).....利尻・礼文・稚内沿岸
礼文島の香深浜・船泊浜、利尻島の沓形浜・仙法志浜
・日高昆布(ひだかこんぶ).....日高沿岸
井寒台浜、浦河浜、近笛浜、冬島浜、歌別浜
・長昆布(ながこんぶ).....釧路・根室地方沿岸
昆布森浜、釧路東部浜、散布浜、浜中浜
・厚葉昆布(あつばこんぶ).....釧路・根室地方沿岸
昆布森浜、釧路東部浜、散布浜、浜中浜
・細目昆布.....北海道の日本海側沿岸
石狩、檜山、後志、留萌
・ガゴメ昆布(がごめこんぶ).....函館沿岸
室蘭の地球岬~恵山岬~函館~松前
青森県竜飛崎周辺~大間崎~東通村
岩手県
北海道や東北の三陸海岸でしか採れない昆布ですが、
約800年くらい前から食べられ始めています。
最初は上流階級だけの貴重な物だった物が、江戸時代になって
北海道と北陸を結ぶ北前船によって全国へと供給されていったのです。
北海道から北陸、そして大坂で庶民へ広まった昆布は関東大震災をきっかけに、
東京にも広まっていきました。そして、全国へ。
この昆布を運んだ航路は「昆布ロード」と呼ばれ、九州や沖縄を通って
海を渡り、中国まで広がりました。
一般庶民へも届けられるようになってから、日本料理には欠かせない
「うま味」の元となっていった昆布は、いまや世界中で注目されるように
なっています。
昆布の種類で値段は違う?
昆布の値段は何で決るのでしょうか?
確かに高級品といわれるものは、艶があり黒々としていて幅も広く厚みもあります。
同じ種類の昆布でも値段に違いがでるのはどうしてなんでしょうか。
値段を決める条件は、
・種類
・採れる浜の違い
・幅・厚さなどで決まる等級
・天然か養殖か
などです。
だし昆布としての主な昆布でみてみます。
浜の順では
・真昆布
白口浜→黒口浜→本場折浜→真折浜→場違い折浜
・利尻昆布
礼文島→利尻島→稚内
・日高昆布
特上浜→上浜→中浜→並浜
等級は
長さ、幅、重さ、厚さ、色、形、傷、白粉などで
「北海道水産物検査協会」が定める規格によって等級が決められます。
幅が広く厚いものほど等級が高くなります。
天然か養殖かでは
天然が高級。「天然」と記載がないものは「養殖」となります。
他は
羅臼昆布は漁の時期が早い物、利尻昆布は寝かせて熟成させた期間が
長い物が値段が高くなります。
ギフト用として売られている物には200g1万円前後の物がありますが、
やはり厳選されたものは、これくらいするのでしょうね。
まとめ
北海道から全国へ、そして世界に広がった昆布を毎日の味噌汁から冠婚葬祭や
贈答品にまで、使われていますが、昆布は奥が深いですね。
だしを取ったり贈り物に迷ったりした時はその種類と用途を考えて使うと
満足がいく選択ができるのではないでしょうか。