お月見の日は「十五夜」といい、お団子やススキを月にお供えして一年の収穫を感謝する日です。
「十五夜」と言ったり、「中秋の名月」と言ったりしますが単なる言い方の違いではないようです。
一年の行事として行われてきた「月見」には思いがけない理由がありそうです。
十五夜のお月見について考えてみたいと思います。
中秋の名月と十五夜の違いは?
【十五夜とは】
陰暦の毎月15日の満月の夜のこと
毎月十五夜があるのですが、通例は陰暦(旧暦)の8月15日の夜のことを言います。
もともと暦は月の満ち欠けを基準にしていましたが、明治時代に改暦されています。
いわゆる世界基準に合わせた格好で改暦されましたが、満月を目印とした祭りは多いです。
1月15日 小正月
2月15日 祈念祭
3月15日 梅若ごと
4月15日 神社の春の例大祭
6月15日 祇園会
7月15日 盆
8月15日 月見
11月15日 霜月祭
現在の暦、太陽暦とは1カ月程ずれがあるので、お盆の8月15日を「月遅れの盆」といっています
。月見も8月15日になっていますが、9月7日から10月8日の間に訪れる満月の日を「十五夜」としています。
因みに、明治5年12月3日に新暦移行の理由としての「世界基準に合わせる」の裏には、月給制に移行したばかりの官吏への報酬を、旧暦だと13か月分支払わなければならなかったため、逼迫していた政府の財政状況から早急に新暦導入が必要だったようです。
(旧暦では明治6年が閏年のため一年が13か月ありました。)
【中秋の名月とは】
旧暦の8月15日(月見)の夜に見える月のことをいいます。
「中秋」とは秋の真中のことなのですが、8月は夏のイメージです。
新暦になってからは春は4月~ですが、旧暦での季節は
1月~3月 春
4月~6月 夏
7月~9月 秋
10月~12月 冬
なので、秋の真中8月の15日に出る月が中秋の名月といわれます。
1ヶ月程ずれる新暦では9月になるので、9月7日~10月8日の間に出る月が中秋の名月とされます。
2018年は9月24日になっています。
十五夜の月は満月とは限らない?
ところで、十五夜の月が満月?と思ったことはありませんか?
次の日の月の方が満丸に見えたりしませんか?
暦の上では新月が1日(ついたち)、そこから15日目が十五夜となるのですが、月の公転軌道が楕円になっているために満月になる日がずれているんですね。
月は約1ヶ月かけて地球の周りを回るので、地球からみえる月は何も見えない新月から始まり、半分見える上・下弦、全て見える満月と見え方が変わります。
単純に考えると、1ヶ月約30日の半分で満月になるのですが、地球にある海が月の公転軌道を楕円にしているために1日遅れることがあるのです。
必ず1日ずれるということはないので、十五夜の月はほぼ満月と思っていいようです。
十五夜に月見をする意味は?
十五夜は毎月あることがわかりましたが、何故秋にわざわざ「名月」とするのでしょうか。
旧8月は空気が澄んでいて、月がとても美しく見えます。そして秋は収穫の時でもあり、豊穣の感謝を表すために月を祀ったとされています。
こんな詩をご存知でしょうか
月月に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月 読み人知らず
「月」が8回入れられています。
「この月」で8月が月をみるのに最適、最後の「月」で8月の月が名月です。と2通りに解釈できるようですが、昔の人の表現力は素晴らしいですね。
まとめ
いかがでしたか、何気なく十五夜と中秋の名月を同じ意味のように使っていましたが、違いが分かりましたでしょうか。
必ずしも十五夜に見える月が満月でなかったとしても、中秋の名月です。
月を眺めて1年の収穫を感謝してみませんか。
収穫は物ばかりではなく、心の収穫もあります。
人との出会いや体験したことに感謝するいい機会ではないでしょうか。
最後までお付き合い下さいまして有難うございました。