公務員はお中元やお歳暮は禁止されています。これは公正性を保つためなのですが、利害関係がない相手までは禁止されていません。公務との対価性はなく、社交儀礼の範囲であれば問題ないとされています。
では、利害関係の範囲とはどこまでなのでしょうか。結婚のお祝いや香典、誕生日プレゼントであれば受け取ることはできるのでしょうか。
公務員のお歳暮は賄賂になる?
公務員がお中元やお歳暮をもらうことは、公務員倫理で禁止されています。しかし利害関係が全くなく、完全なプライベートと証明できる場合は問題ないとされています。
公務員は品位と信用を保つ義務があります。特定の相手からお金や品物などを受け取って有利に事を運んではいけないんです。また、疑われてもいけません。
学校時代からの友人で、公務員になる前から贈り物をし合う間柄であっても、職務上の関係がでてまうと誤解を招いてしまうかもしれません。それまであまり付き合いがない友人から公務員になった途端にお歳暮が届いたら、賄賂性を疑われる可能性があります。
賄賂に当たるもの
これって賄賂?と疑われる場合。よくTVドラマで、公務員が悪事に手を染める理由に使われますよね。
・借金の肩代わり
・飲食物の提供
・異性間の情交
また、もしかして賄賂になるんじゃない?と不信感を持たれて追求されるケースがこれですね。
・お金や物、不動産などを貰う
・お金を借りる
・タダで物や不動産を借りる
・〃 サービスを受ける
・未公開株式を譲り受ける
・高級料亭などで接待を受ける
・一緒に旅行、ゴルフ、麻雀をする
・これらの費用を利害関係者に要求して第三者に負担させる
旅行やゴルフはお約束のように使われていますよね。なので、禁止です。
利害関係者に自分の家族に贈り物を届けさせたり、自分の親族が経営する会社を下請けで使わせてもいけません。
利害関係がない場合
利害関係が無いからといって、社会通念上相当と思われる程度を超えた高額な接待を受けたり、物を貰ったりすることもしてはいけないことになっています。賄賂にはならなくても、品位と信用を保てないような行為はしてはいけないのです。
全くのプライベートな友人や彼氏、彼女からのプレゼントは、常識的に賄賂とみなされる事はないと思われますが、少しでも迷うようなものは上司に相談してみるといいかもしれませんね。
公務員倫理に基づく利害関係とは?
公務員倫理規程は平成12年4月に施行されています。公務員の不祥事が相次いだことから、国民の信頼を確保するために制定されました。ですが、国民の信頼を損ねる行為が無くならないため、利害関係者との情報収集や意見交換をしやすくするよう、3つの基本的考えに基づいて平成17年2月に改定されています。
・監修料の適正化を図る
・組織的違反行為を規制する
・規制基準をわかりやすくする
公務員は利害関係者との付き合いでは、特に慎重にならなければいけません。部署を異動した後も利害関係者としてみなされるからです。
利害関係者とは
・許認可を申請及び受けている者
・補助金 〃
・立ち入り検査・監査、監察を受ける者
・営業停止や許可取り消しなどの処分を受けている者
・行政指導を受けている者
・所管する業界の企業
・契約の申し込み及び締結している者
・国の査定を受ける機関
同じ省庁内であれば公務員同士は利害関係にはなりません。公務員は頻繁に移動がありますが、その部署にいなくなったとしても、異動の前後3年間は利害関係者とみなされます。異動してもすぐには利害関係はなくならないのですね。
もう1つ気を付けなければいけない事は、利害関係がある公務員に別の公務員から口添えをしてもらおうとすることです。全く関係ない部署の人に頼んでも、その人とも利害関係になってしまうのです。巻き込む事になるので止めましょう。
禁止されていない事
同窓会に利害関係者がいる場合は、禁止されていません。自分で会費を払って参加する同窓会の友人に利害関係者がいたとしても、学生時代の友人は「私的な関係」になります。
会員となっているゴルフコンペに利害関係者がいたとしても、打ち合わせをしてゴルフをするのではないので参加は可能です。
冠婚葬祭は相場の金額で!
結婚式の祝儀やお葬式の香典は、個人としてであれば受け取ることができます。
結婚の祝儀
結婚する相手が勤めている会社が自分と利害関係にある場合は通常の社交儀礼の範囲であればお相手の上司や同僚から祝儀を受け取ることができます。
また、親の関係で出席した利害関係者からも通常の社交儀礼の範囲であれば受け取ることができます。
社交儀礼の範囲は地域によって違いがあるとしても、上司や同僚などであれば1万円くらいが上限になってくるのではないかと思われます。過剰な祝儀は受け取らないのが無難ですし、贈る方もあまり高額なものは避けた方が良いでしょう。
葬式の香典
公務員が葬儀を執り行った場合は、利害関係者であれば個人として持参した香典は受け取ることはできます。事業者として持参したものであれば、報告書を提出することになります。
利害関係が無い事業者からの香典は、当然受け取ることができますし、報告書の提出も必要ないですね。
賄賂とまでいかなくても、国民が不信に思うような行動はしてはいけないとの考えから、公務員倫理が定められています。個人としての祝儀や香典は構わないのですが、事業者からのものは贈る方も受け取る方も慎重にする必要がありますね。
まとめ
社交儀礼の範囲であれば賄賂とはされないものの、賄賂と疑われやすいお中元やお歳暮は特に慎重に考えた方が良さそうです。
感謝の気持ちを伝えるのがお歳暮ですが、ちょっとした旅行のお土産や誕生日の贈り物などで日頃から感謝を伝えておくと、贈る方の負担が少ないですし贈られる公務員の方も気兼ねなく受け取る事ができるかもしれませんね。
たとえ1円でも賄賂性のあるものを贈ると、公務員が罰せられてしまいます。せっかくの気持ちが相手の迷惑にならないように配慮をすることが必要です。
最後までお付き合いくださり有難うございました。