生活の様々なシーンで登場するお茶は、数千年も前から世界中で飲まれ続けています。
日本茶は製法や「渋み」という独特な表現がされる感覚を覚えることから、効能効果が研究されています。
子どもからお年寄りまで飲まれているお茶の効能とは?
緑茶の効能
中国から伝わり、江戸時代に庶民に広まってから今日まで緑茶は普段の生活に溶け込んでいます。
「お茶を一服」の言葉があります。「服」とは着るものの他に薬や茶・タバコなどを飲む回数を数える時に使う言葉でもあります。お茶やタバコを飲んで休憩する意味なんですね。
仕事の合間や食事の時に何気なく飲んでいる緑茶には、健康維持や病気予防に効果がある成分がたくさん入っています。
例えば「カテキン」「ポリフェノール」「ビタミンC」などです。
5月は新茶が出まわる季節です。せっかく美味しいお茶を飲むのなら、その効能を知っておきたいですよね。
カテキンの効能
カテキンはポリフェノールの一種。タンニンと呼ばれている渋みの主成分です。
味覚というよりも触覚に近いもので口に入れると粘膜のタンパク質と結合して起こる、組織や血管を縮める収斂(しゅうれん)作用による感覚で「収斂味」と呼ぶこともあります。
渋柿やワインにも含まれています。
その効能は多様で、コレステロールや体脂肪の低下やガン、虫歯、二日酔いなどの予防、血圧・血糖の上昇抑制作用、O‐157やインフルエンザなどの抗ウイルス作用などがあり、口臭の原因になる細菌の増殖を阻止してくれる働きもあります。
また、脳細胞の成長を活性化してくれるので記憶力・学習力のアップにもなります。記憶力が衰える認知症の予防にもなるようですよ。1日5杯は飲みましょう。効果がでる目安です。
カフェインの効能
カフェインは苦味です。
お茶の若い芽に多く含まれるため、抹茶や玉露はカフェインの量は多いのです。
それぞれに適した温度や時間で淹れた100gのお茶に含まれるカフェインの量は、玉露が160mg、煎茶20
mg、ほうじ茶20mg、玄米茶10mg。抹茶は粉末100gに対し320mgとなっています。(文部科学省 日本食品標準成分表2015年版)
カフェインは主に覚醒作用・利尿作用があります。
脳の中枢神経に興奮的に作用するためで、眠気を防いで作業能力や運動能力を向上させる働きがあります。
お茶は沢山飲んでも脱水症状にはなりません。
カフェインと一緒に水分も摂ることになるので、必要な水分は残ります。
むくみ解消に効果的なのは、余計な水分を出してくれるためなのです。
但し、寝る前に飲むと寝つけなかったりトイレに何度も起きて寝不足になったりする可能性はあるので、お茶を飲む時間は寝る2~3時間前までにした方が良いでしょう。
他に、血管を健康に保つ働き、気管支拡張作用があります。
また、アルコールの代謝がよくなるので、二日酔いにも効果があります。
一度試してみてはいかがでしょうか?
お茶を飲むとほっとして落ち着きます.
これもカフェインの働きによるものです。
気分を落ち着かせたり変えたい時は、普段よりちょっと高めの抹茶や玉露を飲んでみては?
テアニンの効能
お茶が美味しいと感じるのはうま味成分のアミノ酸、有機酸、ポリフェノールなどが総合的に作用しているためですが、アミノ酸の半分以上を占めているのがテアニンです。
テアニンはお茶特有のもので、初期の若い芽に多く含まれ、成熟した芽では極端に少なくなります。
玉露は日光を当てない栽培方法なので、カテキンに変わることが抑えられ新芽のようにテアニンが豊富に含まれた状態になります。
新茶や玉露が何とも言えない美味しさがあるのはテアニンが豊富にあることからなのです。
それに対し、番茶は成長して硬くなった葉を使っているのでさっぱりとした味わいになっています。
ほうじ茶は番茶と同じく成長した葉を使っていますが、水分が無くなるまで熱を加えて作るので(ほうじて)作るのでカフェインやテアニンが減るために、さっぱりとした味わいになりお年寄りや子供、カフェインが苦手な人におすすめです。
番茶は地方によって作り方が違うので、煎茶のように緑色だったりほうじ茶のように茶色だったりします。
お茶のうま味を味わいたい時は、抹茶、玉露、煎茶でさっぱりとしたお茶が飲みたい時やごくごく飲みたい時は番茶、ほうじ茶と気分に合わせて飲むのも良いですよね。
病院で出されるおちゃは番茶かほうじ茶ですよね。大量に使うから安いお茶にしているのかなと思っていましたが、カテキンやタンニンなどの刺激が少ないものにしているんですね。
その他の成分
その他含まれている成分は、抗酸化作用があるビタミン類、抗インフルエンザ作用があるサポニン、虫歯を予防
してくれるフッ素、血圧を下げてくれるγ-アミノ酪酸(通称:GABA)、体の調子を整えてくれるミネラル、消臭作用があるクロロフィルなどがあります。
緑茶は1日どのくらい飲めばいい?
とても健康効果がある緑茶ですが、1日何杯飲めば効果があるのか気になる所ですね。
・5~6杯…脳梗塞、肥満予防
・7杯以上…糖尿病改善
記憶障害の症状が出る認知症は、脳の神経細胞が活性酸素で傷つくことが脳の働きの低下しておきます。
緑茶に含まれているカテキンが活性酸素の働きを抑えたり、神経細胞が傷つくのを防いだりしてくれます。
血管が詰まる脳梗塞はカフェインが血管内皮を修復してくれるので、詰まりを防いでくれます。
東北大学医学系研究科による1995年から11年間に及ぶ4万人の追跡調査によると、脳梗塞リスクが最も低かったと出ています。毎日5杯以上が最も低くなるようです。
調査対象が宮城県大崎市の40~79歳の男女と限定されていますが、国立がんセンターの全国的な追跡調査においても飲む量が増えるにつれてリスクが低くなると出ています。
これはカフェインに血管内皮を修復し血管を健康に保つとされていることからです。
糖尿病予防にはカテキン。血糖値がすでに高くなっている人にも効果があるというのですから、興味深いですよね。ただし、ペンシルヴァニア州立大学農学部の研究結果によると、緑茶を飲むだけではく運動をしないと効果がないと出ています。適度な運動は必要なようです。
注意事項
緑茶の健康効果が沢山あることを紹介しましたが、何事も過ぎることは良くありません。
お茶の飲み過ぎはカフェイン中毒にもつながります。
カフェインの安全な量は1日200~300mgです。
煎茶なら1杯150mlとして30mg。10杯くらいまでなら大丈夫ですね。
そして、貧血の人は要注意です。
タンニン(カテキン)が鉄の吸収を妨げます。緑茶ではなく、麦茶をおすすめします。
手元に緑茶しか無いからと、鉄剤をお茶で飲んではいけません。必ず水で飲んで下さい。
紅茶は種類によってはタンニンが緑茶の1.5倍も多く含まれているので貧血には大敵です。
ペットボトルの緑茶の効果
手軽さからついつい買ってしまうペットボトル入りのお茶は、コンビニやスーパー、自動販売機とちょっと横を見ると売っている所は沢山あります。値段も100円前後と安価です。
急須で淹れるのも面倒だし、お茶なんだから同じでしょと思いがちですが、京都光華女子大学の研究結果によると、ペットボトルのお茶には急須でいれたお茶に対して平均でタンニンが約45%、カフェインが約41%、テアニンが約34%しか入っていない事が分かりました。
渋味や苦味をだすためのタンニンやカフェインが半分近く入っているのに対し、旨味を出すテアニンが約3割ということに気づかれましたか?
お茶を飲むと、ほっとするリラックス効果を出すテアニンは、ペットボトルのお茶にはあまり入っていません。気分を落ち着かせるためには、やはり急須で淹れたお茶のほうが良いようですね。
水出し緑茶
急須で淹れたお茶の方がいいとわかっていても、淹れるのが面倒になるものです。
寒い時期はせっかく買った温かいお茶も飲んでいるうちに冷めてしまったり、暑い時期は冷たく冷えたお茶も温くなってしまったりとしますよね。
お茶はお湯で入れるのが普通ですが、水で出すこともできます。
水で出すと嬉しい事に、カテキンの中でも免疫力をアップさせる「エピガロカテキン」が増えることが分かっています。
・エピガロカテキンガレート(EGCG)
・エピガロカテキン(EGC)
・エピカテキンガレート(ECG)
・エピカテキン(EC)
エピガロカテキンガレート(EGCG)は外からきた異物に対して過剰に反応する免疫機能の暴走によって起こるアレルギー反応を抑えてくれる働きがあります。
エピガロカテキン(EGC)は外から来た異物を食べてくれて、異物が入ってくるとすぐに反応してくれる働きがあります。
80℃のお湯2分で淹れたお茶にはエピガロカテキンガレート(EGCG)とエピガロカテキン(EGC)が同じ割合で含まれています。
2つのカテキンが同じ割合で働くので、±0ですが、4℃の水に1時間お茶の葉を入れておいて出たお茶はエ
ピガロカテキン(EGC)が8割に増えることが分かっています。(農研機構)
急須で淹れたお茶を冷やしてもピガロカテキン(EGC)は増えません。
すでにエピガロカテキンガレート(EGCG)とエピガロカテキン(EGC)が同じ割合で出てしまっているので、お湯で淹れたお茶が冷めただけの状態だからです。
水の温度は低く時間をかけるほど、ピガロカテキン(EGC)が増えるので水で出すようにしましょう。
作り方は簡単です。
ボトルに茶葉をいれて水を注ぎ、冷蔵庫に1時間以上入れておくだけです。
夜、寝る前に冷蔵庫に入れておけば朝にはピガロカテキン(EGC)たっぷりのお茶が完成されています。
食事の後や休憩時間に一服楽しみましょう。
まとめ
緑茶の効能は、血管を健康に保つ成分によって、脳梗塞や肥満などの生活習慣病を予防に効果が期待できます。
また、リラックス効果による心の健康維持にも役立ます。
ペットボトルのお茶にもそれなりの効能は期待でき、水出しに至ってはアレルギー疾患に効果を発揮してくれるなど、心身ともに健康に役立つ飲み物と言えます。
しかし、それには適度な運動が不可欠な事を忘れてはいけません。
お茶を飲んでいるから大丈夫と思わず、適度な運動と栄養のバランスが取れた食事を心がけ、楽しく毎日を送りましょう。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。